sour time 見知らぬ母性 忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


即興小説トレーニングで書いた奴です お題「見知らぬ母性」




人と天使の違うところ、それは何か。
気まぐれで始まった私たちの議論だった。
「おもしろいじゃないか、みなで考えてみよう」
言い出したのは私たちの長、セムヤザ。肩に届く銀色の髪を書き上げて
ふふ、と口元だけで笑う
許す様な、それでいて挑むような目をしたまま、いつもそういうふうに笑うのだ。
「人と俺たち天使なんて何から何までちがうだろうが。一緒でたまるか」
「野暮だなぁアラキエル、違うからこそ面白いのさ」
サリエルとアラキエルは二人でなにやら騒いでいる。私はゆっくりとこの問題を考えたいのに。
人と私たちが違うところ、何かしら。肉体も魂も何から何まで違うけど、
私が一番思う相違点は一体何なのかしら?
アザゼルは「人の進化の可能性」と答え、バラケルはもそれに賛同したわ。
人は弱い、だからその弱さを補うため道具を使う、そして進化する。
私たちは強い、そして完全だ。神の手足としての特性を最初から備える天使に、
進化は必要ないのだ。
そう、人は弱い。でも、弱さを補うために他者、自分でないものを求めるのではないかしら
他者、自分でないものは一体どこからくる?
男と女は同じ人間だけど他者だから補い合うことが出来る。
これはサリエルのこだわっている点でもあるわね。
だけどそこからは「自分の分身」が生まれる、それが「子供」。
子供は他者であり自分でもあるのではないかしら。
だから愛しい。守りたい。守りたいから、弱いままでいられない、だから人は進化する。
そう、ヒトの慈しみが生まれるところはきっと子供の誕生なのだ…
私たち天使は、慈しみを知っているけど、子に対する「守りたい」という感情を知りえない。
そこが違うところなのかもしれない…
「では、その感情の名前は?」

私がはっとして顔を挙げると、
セムヤザはまた口元だけで笑っていた。

拍手

PR
この記事にコメントする
Name :
Title :
Mail :
URL :
Color :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Comment :
Password :
HOME | 27  26  25  24  23  21 
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新コメント
プロフィール
HN:
tom
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R

忍者ブログ [PR]